「西洋料理の拵え方」

大正12年12月1日 発行 全167ページ


以下旧仮名や旧字を直してほぼ原文まま。

全書に渡っておかしな口語(?)体で書かれています。


第1から第12章までは、当時(1920年代)著者が調べたとする世界各国の料理のレシピが、全く用を成さないような内容で書かれており、アメリカイギリスフランス料理はなおのこと、スコットランド式トルコ式料理まで幅広くレパートリーがあるのですが、どのレシピも1ページにも満たないほど簡素な上に、焼いてくださいだの入れてくださいだの程度の案内しかありません。



第13 最新宴会の心得


 近来西洋風の宴会が到る所におきまして盛んに行われて居りまするが、どうも欧米諸国の交際社会に行われている所のその作法の心得をご存知の無い方のために左にのべてご覧にいれましょう。


第一が、食卓に着きましたら決して左を見たり右を見回してはいけません。


第二が、決していかなる食物(しょくもつ)にても口にいっぱいほうばってはなりません。


第三が、いかなる食物によらず、決してかみながら口を開けぬようにいたさねばなりません。


第四が、口中に指を入れ歯などをほじることはごく禁物です。


第五が、ナイフにて食物を口に入れることは最も無作法です。又ナイフを舐めてもいけません。


第六が、よく注意をいたしまして、決してバターやロースにて卓子掛(テーブルかけ)を汚してはなりません。


第七が、食卓上にあります果物は、いかなる種類によらず、決して他の席へ持って行くことは出来ません。


第八が、まずお菓子にいたせ果物の類にても、それが一個ぎり残っております場合は、決してそれを取らぬようにいたさねばなりません。


第九が、献立の中に、自分に好まぬ品物があっても、一切口外しては無作法です。


第十が、決して自分からかれこれと品好をいたしてはいけません。


第十一が、よく貧乏ゆすりをいたしたり、或いはしばしば襟飾りを直すのもごく無作法でございます。


第十二が、肘を卓上に置いたり、乃至は頬杖を付くことはごく禁物です。


第十三が、指に故障のあります場合の外は、決して手袋をはめたまま食卓に着くことは出来ません。


第十四が、隣の人に強くひじを突き当てることは大いに失礼でございます。


第十五が、他人と耳こすりあるいはあくびを出してはいけません。


第十六が、おのれと対食いたしておる方の足に触れぬようにいたさねばなりません。


第十七が、残骨をねぶり、あるいは残汁をすすることは禁物です。


第十八が、例え自分の好物と言えども、決してそればかり取ることは甚だ無作法である。


第十九が、己れの進められたる食物は同席の人に譲らぬことを忘れてはなりません。


第二十が、食事中にいかに興に乗ずると言えども、決して高声を発し、或いは肉刺(フォーク)を振り回してはなりません。


第二十一が、いかなる場合においても椅子は決してうしろにずり出ださぬこと。


第二十二が、ナイフにて皿をカチカチと切らぬ事。


第二十三が、取りにくいと見える食物は必ず肉刺を右の手に持ち、左の手にてパンをつまみてこれにて押さえてとること。


第二十四が、もしそそうしたる場合なりとも、決してあわててはいけません。なるべく静かにそれを処置いたすのである。


第二十五が、もしも自分にて処置をいたし難き場合においては、静かに給仕人を呼んでそれを告ぐる方がよろしい。

(下は間違い?で番号が重なっています。)

第二十四が、果物を切る時は必ずデザートナイフを用いる事、決して他のナイフを用いてはなりません。


第二十五が、婦人客のあるときは、婦人客の席を立たざる事、また先に立ってはなりません。


第二十六が、びろうなる談話と、他人を中傷するが如き談話は一切してはいけません。


第二十七が、自から愉快に人をも愉快ならしむるよう努むることが肝心。


第二十八が、喫煙室に入りたる場合は、余り長く談話をいたさぬこと、特に時刻を計りて帰らなければなりません。




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